ギリシャ随想シリーズ (12)古代ギリシャの女性たち(2)

 民主政期のアテネにおいては、女性は二種類に分けられる。
 前述した市民の妻や娘である市民身分の女性と、非市民の外国人や娼婦である。
 その中でも高級娼婦たちはヘタイラと呼ばれ、その他の娼婦とは扱いが違っていた。
 ヘタイラたちの中には、自尊心があり、教育を心に懸け、知力と教養を持ち、
 裕福で洗練された者もいた。
 時の最高権力者ペリクレスの愛人であったアスパシアというヘタイラは
 聡明な女性であり、ペリクレスの演説の指導すらしていたという説がある。
 宗教行事以外は外出を許されなかった市民身分の女性たちに比べて、
 ヘタイラたちは自由に出歩き、活気のある生活をしていた。
 しかし、ヘタイラといえども身分は奴隷であり、市民身分の女性たちよりも
 数段格下のものして扱われていた。
 彼女たちも含めて、多くの娼婦たちは男性たちの厳然たる支配下にあった。
 家の中でも外でも、男性たちはやりたい放題だったと言えよう。
 倫理観が違うとはいえ、古代ギリシャは男性の欲望が見事に具現化された世界であり、
 現代からすれば少々呆然としてしまうものがある。
 それとも男性諸氏にとっては夢のような世界なのだろうか。

 (2004.6.22)

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