カーステから流れているのは鳥羽一郎の「兄弟船」。
♪波の谷間に命の花が、二つ並んで咲いている、兄弟船は親父のかたみ♪
おっ、出ました。この歌です。水産関係者がカラオケに行くと必ず誰かが歌う歌。漁業に関係している者なら肌感覚でわかる文句がいくつも出てきます。漁業に縁遠い人でも、これは漁師の歌だとすぐわかります。でも職業がわかる歌というのは意外に少ないものです。「包丁一本サラシに巻いて」の板前。「酒や酒や酒こーてこい」の落語家。「24時間戦えますか、リゲイン、リゲイン」の営業マン。鍛冶屋や炭鉱労働者の歌も。しかし、とにかく少ない。これに対して漁師の歌は「兄弟船」以外にもかなりあります。範囲を漁港や港町にまで広げると、もう数え切れない。海洋民族の面目躍如か? それとも当方のレパートリーがそちらに片寄っているだけか?
(亮)
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