カーステから流れているのはビリー・バンバンの「さよならをするために」。
♪過ぎた日の微笑みを、みんな君にあげる♪
やわらかな言葉と旋律が、春霞の薄日の向こうから流れてくるような歌です。
英語学者の渡部昇一は、この歌の一番を引いて、歌詞がすべて大和言葉で出来ていると指摘しました。漢字が混ざっていてもすべて訓読み、すなわち大和言葉であると。太古からの日本語は頭を介さず直接心に届くのかもしれません。
歌の二番に音読み漢字が二つだけ登場します。「過去」と「愛」。
♪風に残した過去の、さめた愛の言葉♪
大和言葉の海の中に漢語の岩礁が二つ突き出ている、ゆえにこの歌の主題は「過去」と「愛」である、と渡部先生なら言うでしょうね。
(亮)
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