カーステから流れているのは「なごり雪」。イルカの歌い方が素人っぽく、初期フォークの面影を感じさせる。しかし歌そのものは、もはや古いフォークではない。
時は春、場所は駅、若い二人、惜別。まるで映画のような情景の中、そこに流れるのが、
♪いま春が来て、君はきれいになった、去年よりずっときれいになった♪
歌には名文句というものがある。このフレーズはまちがいなくそのひとつ。
少女の変化に気づいたということは、少年も大人に近づいた証拠。さあ、今だ、がんばれ。
♪君が去ったホームに残り、落ちてはとける雪を見ていた♪
やはりまだ若い。未熟この上ない。でも仕方ありませんね。少年でもなく大人でもない微妙な季節、雪降る早春、それが青春。この歌は芽吹いたばかりの青春のひとこまですから。
(亮)
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