カーステから流れているのはヴィレッジ・シンガーズの「バラ色の雲」。
♪バラ色の雲と思い出を抱いて、僕は行きたい君の故郷へ
野菊をかざった小舟の陰で、くちづけ交わした海辺の町へ♪
メロディは明快。歌詞はシンプル。たった8行。しかし、選び抜かれた数少ない言葉の中に、物語が隠れています。言葉を費やせば心が伝わるというものではありません。むしろ言葉数が多いと散漫に流れやすい。この歌には俳句や短歌の作法が感じられます。
歌曲への思い入れは、どうしても個人的な事情が混ざりますね。バラ色の雲を実際に知っているから。それは海辺の町でときたま現れる朝焼けの色。砂浜の小舟も知っています。
♪バラ色の雲と思い出を抱いて、逢いに行きたい海辺の町へ♪
このフレーズを聞くと、まったく同じ気分になりますな。
(亮)
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