カーステから流れているのはトワエモワの「虹と雪のバラード」。
♪生まれ変わる札幌の地に、君の名を呼ぶオリンピックと♪
札幌五輪(1972年)の歌である。トワエモワにしてはめずらしく男女対等の歌いぶり。普通は白鳥英美子(旧姓山室)の美声が前面に出て、芥川澄夫は目立たぬように歌う。
芥川は伊予西条の出身である。そこの名門、西条高校を卒業した。西条高の放送部は連日トワエモワの歌ばかり流していた。芥川の控えめな声を聴き取るため生徒たちは耳を澄ました。「虹と雪のバラード」は芥川の声がよく聞こえるので人気があった。この西条高で芥川に音楽を教えたのが秋山先生であった。先生の息子が「千の風になって」の秋山雅史である。秋山雅史はこの名門校には入れなかった。理科の成績のせいかもしれないが、それは声楽家にとって恥ではない。以上は西条近辺で語られる伝説である。伝説だから史料はない。
(亮)
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