カーステから流れているのは布施明の「シクラメンのかほり」。
布施明は評判がよくなかった。オリビア・ハッセーをさらっていったから。しかし、くやしいけど歌はうまい。
♪真綿色したシクラメンほど清しいものはない
出逢いの時の君のようです♪
この情感、この声量、どうなっているのだ。口が大きいとこういう声が出るのか。
この曲を聞くとロシアでの出来事を思い出す。ギターの上手な女の人がいて、仕事が終わった夕方、事務所でよくギターを弾いてくれた。日本の歌を何か歌えと彼女からギターを渡され、何曲か歌ったが、もともと歌もギターもヘタなのでお世辞しか返ってこなかった。ところが「シクラメンのかほり」を歌ったら絶賛の嵐。日本語を知らない人たちなのに「すばらしいわ、これは愛の歌ね」と感激しきり。布施明は曲にも恵まれたのだ。
(亮)
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