カーステから流れているのは加山雄三の「別れたあの人」。
♪手紙を焼いた たそがれの 真っ赤な夕陽が目にしみる♪
この歌はヒットしなかったのか、テレビやラジオでは聞いたことがない。この曲は楽譜でおぼえた。昔の話だが、楽譜を見ながら自分勝手にギターを弾いて歌っていた。自分なりに切々と、バラード風に歌っていた。ところが、今カーステから流れる「別れたあの人」は、テンポがよくて軽やかである。思い出にひたらず、内省的にならず、前を向いてスキップでも踏むような感じ。曲のイメージがまるでちがうのである。歌っているのは加山雄三本人である。これが本来の「別れたあの人」なのだろうが、黙って聞いていると、そうじゃないだろう、そんなに陽気に歌っちゃいかんだろう、とツッコミたくなる。まあ相手は青春の若大将だから仕方ないか。こっちは失恋まみれの田舎少年だったからな。
(亮)
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