カーステから流れているのは山本譲二の「みちのくひとり旅」。
未練に身を焼きながら、何かワケあって独り旅する男の話です。
この歌の白眉は何といっても男のセリフ。
♪たとえどんなに灯りがほしくても お前が俺には最後の女
♪たとえどんなに流れていても お前が俺には最後の女
この言い方はすごいですね。「お前が俺には三人目の女」と言われたのでは女は鼻白みます。ましてや十人目など論外でしょうけど、たとえ十人目であっても「最後の女」と表現したら過去の女遍歴のすべてが許される。この男の言語能力に感服するほかありません。これは男の視線のなせるわざでもあります。過去を引きずる男は「お前は十人目の女」という言い方になります。未来だけを見つめる男は「お前は最後の女」と言い切るのです。
(亮)
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