カーステから流れているのはハイファイセットの「フィーリング」。リードヴォーカルの山本潤子は完成度の高い曲を歌うにふさわしい人である。
♪そうよ 愛は男と女が傷つけあう ふれあいなの♪
このフレーズは深い。男と女は永遠にわかり合えない部分がある。互いに手探りで感触を感じ取るしかない。そこは不可知の領域。言葉では表現できない。言葉にならないものを無理に言葉にすれば、幻滅や混乱、錯誤や後悔の淵に追いやられるであろう。わかり合えない部分を埋めるのはフィーリングなのだ。そこを越えてふれあうと互いに傷つくだけ。それでも人はそうしたがる。愛の苦しみを吐露する幾多の恋歌が生まれるゆえんである。
原曲(英語)は男心を歌っている。なかにし礼の和訳は女心になっている。キーワードが「フィーリング」であればどっちでもよい。いや、上のフレーズが入った和訳の方がよい。
(亮)
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