カーステから流れているのは「また君に恋してる」。坂本冬美が歌っている。
朝露が招く光を浴びて初めてのようにふれる頬♪というからには、頬がふれあうのは初めてではない。てのひらに伝う君の寝息に過ぎてきた時が報われる♪ということは、この二人は長い時を経て再会し、夜を共に過ごしたのだ。いつか風が散らした花も季節巡り色をつけるよ♪を簡単に言うと、かつて恋は風に散ったが、二人はまた燃え上がった。今度の恋は青春時代とはちがう。二人には人生の積み重ねがある。人を想う心の深さがちがう。にじみでる魅力の輝きがちがう。前とは比べものにならないほど恋は濃密。だから締めの文句は、
♪また君に恋してる今までよりも深く
まだ君を好きになれる心から♪
焼酎のテレビCMでは、この曲をビリー・バンバンが男の側の視点でしみじみと歌った。一方の坂本冬美は、特定の視点を超越し、愛のストーリーに昇華させた。
(亮)
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