カーステから流れているのは「思い出の九十九里浜」。Mi-Keの歌だが、歌っているのはLa Pom Pon。若い彼女たちが知っているかどうか、これは何じゃ?というような歌である。
♪ああ 九十九里浜 夕陽が泣いている♪
続いて、君だけに愛を、花の首飾り、好きさ好きさ好きさ、神様お願い、バラ色の雲、長い髪の少女、遠い渚、真冬の帰り道、といった往年のグループサウンズの曲名が歌詞の中にちりばめられているのである。しかし、これはパクリではない。由緒正しい「本歌取り」である。よく知られた古歌を織り込みつつ独創を光らせるのが「本歌取り」。この歌が独創的なのは、須磨でも湘南でも他のどこかでもなく九十九里浜をもってきたこと。GS曲をかき集めて九十九里浜の物語に仕立てたこと。九十九里浜に日の出はあっても夕陽は沈まぬことなどお構いなしの強引さ。聴く者をポカンとさせる味わいがある。
(亮)
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