カーステから流れているのはタイガースの「花の首飾り」。
♪おお 愛のしるし 花の首飾り
私の首にかけておくれよ あなたの腕がからみつくように♪
なんとも気取った歌である。だいたい自分のことを「わたし」と呼ぶ男など恋歌ではまずお目にかかれない。男にとって「わたし」はよそ行きの言葉である。心が自由になっていない。ぎこちない。腕をからませ花をくれる女の前で「わたし」は使わない。
と、こんな風になんだかんだ言っても、タイガースにはかなわない。「わたし」であろうが「ぼく」であろうが「おれ」であろうが、ジュリーが歌うとサマになる。グループサウンズはアマチュアに毛が生えたようなのが多かったが、ジュリーには脱帽した。それとブルーコメッツの洗練された音楽性。これにも手が届かなかった。古い話だが。
(亮)
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