カーステから流れているのは岸洋子の「夜明けの歌」。
♪夜明けのうたよ 私の心の きのうの悲しみ 流しておくれ♪
シャンソンを歌う歌手はおしなべて歌がうまい。情感がある。岸洋子のような「シャンソン歌手」を自任する人はもちろん「アイドル」の南沙織や「フォーク」の森山良子など歌唱力がピカイチの人もシャンソンを歌った。雰囲気、声、歌唱力が合わさって名曲の調べが生まれる。この「夜明けのうた」はシャンソンではないが、同じことが言える。
ところでこの曲、そこはかとなく気になる部分がある。「私」は「わたし」でなく「あたし」と歌われる。女の一人称が「わたし」と「あたし」では人物像がやや異なる。同じ人物が無意識に使い分けることもある。この曲は「わたし」でよいと思うのだが、作詞の岩谷時子にも考えがあったのだろう。
(亮)
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