カーステから流れているのは春日八郎の「お富さん」。往年の大ヒット曲です。ある世代以上の人は必ず耳にしているはず。よくわからないまま聞いていた世代もいます。
♪イキなクロベー、ミコシのマツに、アダナ姿のアライガミ、死んだはずだよ、お富さん♪
ところどころわかる部分があります。そこがミソで、全部がチンプンカンプンなら耳に残らない。わかったような、わからないような、そんな歌が、すこぶる調子のよいメロディに乗って街に流れた時代があったのです。
黒兵衛が祭の神輿をかついでいるとか、お富さんというお化けが出てくるとか、子どもたちは適当に見当をつけて聞いていました。しかし、この曲は、歌舞伎「切られ与三郎」を題材にした浮世話。その筋書きは省略されていて、与三郎のセリフだけがある。わからなくて当たり前。当時の大人たちはこれで本当にわかったのか不思議。
(亮)
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