アハァ…アハァ…
カ−ステから切ない吐息が聞こえる。かすれた女の声。これを青少年に聞かせてよいものかどうかとNHKが悩んだ「伊勢佐木町ブルース」である。声の主は青江三奈。
♪あなた知ってる 港ヨコハマ 街の並木に潮風吹けば
花散る夜を惜しむよに 伊勢佐木あたりに灯がともる
町の名のせいか、この歌のせいか、伊勢佐木町には憂いを帯びた華やぎと、青少年を惹きつけるいかがわしさを感じていた。先日、その伊勢佐木町に初めて足を踏み入れた。飲みに行くのは野毛ばかりである。桜木町で降りて野毛で四軒ほどハシゴする。そのついでに伊勢佐木町にも寄ってみたのである。ちょっと拍子抜けした。これなら野毛の方がよい。しかし野毛とか下呂とかは歌いにくい。「花の野毛」「下呂の女」。これを耳で聞いたらどうなるか。
(亮)
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