第3話 雨の公園 チャトランは、生まれてしばらくして捨てられました。 公園に置き去りにされたのです。 その小さな公園は、小学校の通学路に面していて、夏休みも終わった九月の雨の日、学校帰りのくーちゃんが見つけたのです。 そのときチャトランは、段ボール箱の中で泣いていました。 その段ボール箱は、公園の横に止めてある自動車の下に置いてありました。 子ネコを捨てる、冷たい雨の中に捨てる、あぶない自動車の下に捨てる、そんなひどいことをした人は、しかし、かなしく切ない心でそうしたのかもしれません。段ボール箱は子ネコのおうちになるようにと、自動車の下に入れたのは雨に濡れないようにと。 くーちゃんに抱き上げられた子ネコは、ブルブル震えていました。そして、ぜん息のような奇妙な音をのどから出しました。 この子は病気なのかな、と、くーちゃんはとてもかわいそうに思いました。 くーちゃんは知らなかったのです。ネコは気持ちがいいとき、のどをゴロゴロならすことを。子ネコののどが鳴っていたのは、女の子のあたたかい腕で抱きしめられてうれしかったからです。 (2006.3.06.) |