第4話 雨上がりの朝 「おうちでは飼えません」 濡れネズミのような子ネコを抱えて帰ってきたくーちゃんに、お母さんが断固として言い渡しました。 公園に戻すよう命令するお母さんと、必死に抵抗するくーちゃん。 そのとき、お父さんが二人の間に割って入りました。 この雨の中に放り出すのは不憫である、せめて雨がやむまで待とうと。 でも、夜になっても雨はやみませんでした。 するとお父さんは、仕方がないから一晩だけ置いてやろう、明日捨てるけれども、しかし、もし今晩おねしょをしなければ、ずっと家にいてもかまわないのではないか、という風なことを言い出しました。 降りしきる雨が子ネコにさいわいしたのでしょうか、この奇妙な条件にお母さんは同意してしまいました。 その夜、子ネコはおねしょをしませんでした。 朝が来たとき雨はやんでいたのですが、約束通り、もう捨てられることはありませんでした。 でも、いつも早起きのおねえちゃんは知っていました。その朝、お父さんが誰よりも早く起き出して、子ネコが乗っていた座布団をお風呂場でひそかに洗っていたことを。 おねえちゃんはそのことを誰にも言いませんでした。 (2006.3.20.) |