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チャトランの家



 第23話 かなしい抵抗

 ひとりぼっちが嫌いなチャトランですが、捨てられたときの記憶がよみがえるのか、おうちからどこかへ連れていかれるのは、もっといやがりました。
 おうちの人がみんなそろって遠くへ行くときは、チャトランは動物病院に預けられました。チャトランはお母さんやくーちゃんにすがりつき、離そうとしても離れず、必死になって抵抗しました。迎えに行ったときは、チャトランの声は枯れ木のようにかすれていました。怪談に出てくる化けネコの声を思わせました。夜も昼も、悲しい声で鳴き続けたにちがいありません。
 チャトランをそんな目にあわせるのがつらいから、みんながそろっていなくなることはめったにありませんでした。お盆のお墓参りで田舎に帰るときも、先に行く人と後で行く人に分かれたり、いろいろ工夫しました。それでもたまには動物病院にお泊まりするしかないときがありました。そんなときは、いつも激しい抵抗が繰り返され、悲しい声がやむことはありませんでした。

 (2007.10.01.)


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