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第２４話 ネコ落下
暑い夏になると、チャトランは窓の近くの一番いい場所に陣取って、風に当たりました。風がやむと、ひんやりした床にペタッとはりつきました。寒い冬は、暖かい場所を上手に見つけだして居眠りします。電気カーペットと座布団の間にもぐりこんでいるチャトランを踏みつける事故が後を絶ちませんでした。お風呂場もお気に入りの場所でした。お風呂のフタの上が、ほどよく暖かいのです。
乗って暖かい場所がもうひとつあります。テレビの上です。テレビがついているときは、テレビの上は暖かいのです。おうちの人がテレビを見ているとき、チャトランはテレビの上でよく居眠りしました。そして、たまにですが、チャトランは寝返りをうったはずみにテレビから落ちました。テレビを見ているみんなの目の前で、突然チャトランが視界の中に降ってきて、床にドスンと落ちるのです。
最初にこれがあったとき、みんなは驚き、心配してチャトランに駆け寄りました。でも、テレビから落ちても大丈夫なのだとわかってからは、チャトランが落ちるたびに爆笑がわきあがるようになりました。そういうとき、チャトランは、キツネにつままれたような顔で起きあがり、周囲をキョロキョロ見回して、事態をさとったあとは、なにごともなかったような顔でツンとすまして部屋から出ていきました。あれは恥かくしの行動にちがいありません。ときには、落ちたその場所で、そのまますぐ寝ることもありました。これもきっとタヌキ寝入りです。
チャトランがテレビの上で寝ていると、いつ落ちるかと、つい期待して、テレビに集中できない人もいました。
(2007.11.03.)
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