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第２８話 謎の呼び声
おうちの中で「しゅんくーん」と呼ばれて、「ハーイ」と返事をして駆けていくと、誰も呼んでいないということがよくありました。くーちゃんにも、おねえちゃんにも、同じことがありました。誰かに名前を呼ばれるのですが、呼んだ人の姿が見えず、しかもその呼び声は、呼ばれた本人にしか聞こえていないのです。
その呼び声は、いつしか、おねえちゃんの耳には届かなくなりました。そのうち、くーちゃんにも聞こえなくなりました。最後は、しゅんくんだけが聞きました。正体不明の呼び声は、子どもにしか聞こえないようでした。
ほがらかでやさしいあの声は、いったい誰だったのでしょう。小さな妖精か妖怪がおうちに住んでいたのでしょうか。チャトランがこっそり人語の練習をしていたのでしょうか。遊び好きのミミちゃんの魂がときおりやってきて、来たことを子どもたちに告げていたのでしょうか。
(2008.3.02.)
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