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第30話 自慢の披露
ある日、おねえちゃんとくーちゃんが一緒におうちに帰ってきたとき、二階からチャトランの声がしました。人を呼ぶときの声です。チャトランは二階の部屋で二人を迎えました。その部屋に入った二人の心臓が止まりました。部屋の真ん中にスズメが置いてあったのです。スズメはピクリとも動きません。事態を悟ったくーちゃんは、「キャー」と叫んで部屋を飛び出しました。その場に残ったおねえちゃんに向かって、チャトランは「ニャオ」と誇らしげな声を上げました。
おねえちゃんは、とりあえず、チャトランをしかりました。でも、チャトランは、なぜしかられるのか全然わからないという顔をしました。だってチャトランにすれば、地を這うトカゲでなく、羽のある鳥を初めて狩り取ったのです。ほめられて当然のできごとでした。だから獲物をいそいそと披露して見せたのです。おねえちゃんには、そんなチャトランの心がなんとなくわかりました。でも、さすがのおねえちゃんも、「チャトラン、えらい。よくやった」とは言えません。期待はずれのチャトランは、つまらなさそうな顔をして、どこかへ行ってしまいました。残されたスズメは、もちろんおねえちゃんがかたづけました。
(2008.5.04.)
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