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第31話 スズメの悪夢
誰からも教えてもらっていないのに、チャトランの狩りの腕前はメキメキ上がりました。よく小鳥をつかまえるようになったのです。その瞬間を目撃したのは、しゅんくんです。
庭にいたチャトランが一瞬の早業で何かをとらえました。しばらくは、そのまま獲物を口にくわえて動きませんでした。よく見ると、それはスズメでした。そのうち、スズメの体の、チャトランの口からはみだしている部分が、徐々に小さくなっていきました。チャトランが口をモグモグ動かしています。何やらバリバリという音が聞こえたような気もしました。やがてチャトランは、何事もなかったように歩き去っていきました。
まさかスズメを骨ごと丸飲みするはずがないとみんなから言われても、しゅんくんにはそういう風に見えました。しゅんくんにとって、まるで悪夢でも見ているような、忘れがたい光景でした。
(2008.6.06.)
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