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(ストレス解消中？)
第２話 機内立ち席物語
“上から読んでも…下から読んでも。。。”宣伝文句ありましたね、
前回、私は最前列の機内で聞いた会話を御紹介しましたが、今度は機内最後尾の席より見た事をお話しいたします。
ソ連時代消費物資が不足していた点は皆さんの記憶に残っていると思いますが、それに関連した噂をよく耳にした事がある。“オデッサの市場に行けば何でも買える、原爆だって売られているのだ“。ソ連国内では知らない人はいなかったほど全国的に有名な噂である。私はそこへ出張する事になった、ちなみに原爆の買い付けではありません。一般市民はオデッサにソ連最大の船会社があった事実に関心なかったが（大型外航船だけで１５０隻）、私はそことの商談で初めての出張であった。
ソ連時代、外貨も不足していた、私達外国人は航空券・ホテル代は勿論外貨払いだが、夏場になると民族大移動がはじまり、購入が難しくなる。そこで権力、私のようにそれがない人はコネを使う、運良く手配に成功し無事現地入りしたのである。
商談も順調に終了し、客先案内で現地観光することになった。
まずは、全国的に有名な海水浴場に行った。一面砂利の上で大きなお尻がごろごろしていた、砂浜はなく、しかも深そうで海水浴をする人が少ないのに、何故か海水は濁っていた。後で聞いた地元テレビ・ニュースによるとオデッサ付近に注ぐドニエプル川の生活廃水に汚染された上に病原菌も基準値を大幅に超えたという理由で禁泳になっていた模様である。余計なお世話だが、モスクワ近郊、ロシア中部には水と緑があって豊かな自然環境を形成しているのに、何故手配に苦労して高い代金を支払ってまで、皆さんが黒海に休暇で行くのか、私は不思議でならなかった、後でその理由がステータスと分かって、ビックリした。
夜、レストランに行けば耳が痛くなる音量の元で、あの皆さんが軽々と飛び跳ねていた。私は、バンドにチップを払ってでも静かな演奏をしてほしかった、会話が聞こえるはずがないし疲れる、仕事場ではおとなしい皆さんが何故にこの様に元気かと思えば、原因はストレス解消であった、聞いて見なければ分からない事だらけである。
が、人生哲学を考えた場合、彼らの休暇のエンジョイのしかたが正しい可能性もある、皆さんはどのように思いますか。
そして市場に案内された。
欧米ではなく、アラビア・バザーに似ている、数千人の買い物客がまるで巣に出入りする蜂のように忙しく動き回っていた。さすが南部の市場らしく、他の地方では見られない野菜、果物、活魚、肉類、何でもござれ、所狭しとならんでいた。
私に買い物の予定はなく、見物が目的であったので、一通りに隅から隅まで十字架をきった、何か求めているように見えたのでしょう、案内の方にきかれ、私は原爆を探していると答えた、相手は大笑いした。後で、日本人も冗談を言うんですかと尋ねられ、私は、オデイシイテイ（オデッサの人）とは会話のテンポﾟが早く馬が合いそうですと返事をした、そうして我々は親しくなって、３０年も続いた。
モスクワへの帰り便の航空券を持っていたが、勧められて早めに（３時間前）空港に到着した。
予約は取れているのに受け付け窓口は非常に混雑していた、無事に手続きをすませた。
何故か最後尾トイレと背中合わせの席であった、匂いもして心地よいとは言えなかったが満席なので我慢するしかなかった。指示に基づきシートベルトを締めていつもの癖で眠った。暫くして、目を覚ますと、窓から水平方向に先の建物が見えた、機体はまだ地面にしっかりとへばり付いていたのである。相変わらずだな、案内ひとつない、出発時間は国家機密扱いであった。機内は見渡すかぎり満席であった、乗客は緊張が漂う機内雰囲気の中でながらく離陸を待っていた。５名の男性が乗り込んできて、後ろのトイレ方向に消えた。そこにはトイレが３箇所しかないので、彼らは機体整備関係者であると思われた。
その内、飛行機も脚が疲れたと見えて助走を始め、そして見事に離陸に成功したのである。＜よかった！＞
機体が水平飛行に移ると機内乗務員が後ろトイレ方向に行ったと思ったら、カルガモの一家のように先の５名の男性を先導して機体中央まで進み、乗務員席に彼らを座らせたのである。まるでサーカスでかの有名な魔術師Kioのイリュージョンをみているようであった。すっかり忘れていた、あの５名は立ち席で乗っているのではありませんか、ビックリした。法律とマニュアルに反し、地上と機内係官をどのように納得させたのか考えた、
コネではないとすれば、残るは権力である。科学がいくら進歩しても機体はロシア語の命令が理解出来ないようだ、どうりでロシア国内便は飛行中によくストをおこすと聞く。。。
皆さん、ルールを守って、長生きしましょう！
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