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影武者を探しています。
第８話 影武者物語 その４
〜完結編〜
「その社長が「頼みがある」と言うので聞いた。今回は相当高い政府レベルで政治的な配慮がなされ、そして中央テレビ局にも引き渡し式の模様を全国放送で流すように命令が出たので協力してほしい、というのだ、私は快諾した。本船引渡し調印も既に終了していたので、一日程度はマスコミによる本船撮影を許可したつもりであった。ところが話をよく聞くと、主役は本船ではなく、社長と私であることが判明した。私のマスコミ嫌いは社長もよく知っていたので、何とか説得して辞退を了解された。
そして二日後、いつものように幹部社員数名とアパートの部屋で夕飯を食べながら中央ニュースを聞いていた時である、
アナウンサのナレーションが聞こえた。。。
造船所で、本日、大型船XXX号が引き渡しされた、外貨獲得に大きく貢献した国家プロジェクトである、引渡し式は造船所社長○○○と外国船主代表△△△氏が参加して行われた。テレビ画面を見ると、そこには造船所社長と生産技術部長が本船をバックに何かに調印した後、テープカットをしていた。そして、ナレーションでは何度も私の名前が聞こえたが画面はコーカサス民族のあの部長顔しか映らなかった、やっと悟った、そうだ、「人類は兄弟」ならば、この人が私の「影武者」であってもおかしくないと、プロパガンダ上の理屈が成り立つ、そうなれば世界も平和で結構ではないかと解釈し、皆で大いに笑ったのである。
〜ｴﾋﾟﾛｸﾞ〜
欧米人にはアジア民族が同じ顔に見えるそうだ、
あれから１５年間、私は自分の影武者を探し続けています。
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