ギリシャ随想シリーズ (17)アルカイック時代 | |
紀元前8〜7世紀、暗黒時代末期になると、 いくつもの都市国家(ポリス)が発展し、繁栄していく。 人々が一般にイメージする「古代ギリシャ」はこの時代から始まる。 この時代を「アルカイック時代」と呼んでいる。 この頃、ギリシャ文字、いわゆるアルファベットの普及で文化的活動が高揚した。 有名なホメロスの叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』が完成したのもこの頃である。 更にヘシオドス、アルクマン、サッフォーといった詩人たちも活躍し、 ギリシャ文学史もここから始まる。 アルカイック時代はポリスの揺籃期にあたると同時に、 ギリシアが外の世界に向かって大きく飛翔した時代でもあった。 だから大植民時代とも呼ばれ、ギリシア人たちは北はエーゲ海北岸から 黒海沿岸のクリミア半島まで、西は南イタリアとシチリア島からイベリア半島まで、 そして南はリビア、東は小アジアにまで及ぶ広い範囲に植民市を築いた。 この時期に建設された植民市が基礎となってその後発展したものの中には、 例えばネアポリス(現ナポリ)、シュラクサイ(現シラクサ)、マッシリア(現マルセイユ)、 ニカイア(現ニース)、ヘラクレス・モノイコス(現モナコ)、ビュザンティオン (ビザンチン、現イスタンブール)など、現在にまで続いているものもたくさんある。 まさにこの時代に、西欧文明の基礎が築かれたと言っても過言ではないのである。 アルカイック・スマイルという言葉がある。 これはこの時代の彫刻に特徴的な表情からきたものである。 この頃はまだ後の古典期に見られるような自然な表情をたたえた彫刻はなく、 その表情は固く、ただ口元のみわずかに両端を引き上げて、 ほのかな微笑を浮かべている。 「アルカイック時代の彫刻に特徴的な微笑」だからアルカイック・スマイルなのである。 日本の仏像もこの特徴を持っているが、 これもシルクロードを伝ってきたのかもしれない。 時代が随分離れているから確かではないが。 (2004.7.25) |
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