さくら野俳壇-2004-

投稿歓迎!川柳だってやってるよー!


 数珠玉を摘みし地に生ふ摩天楼
 木の実落つ幼き者に広野あり
 フィガロ紙にくるむ焼栗大通り
 山峡は秋の夕焼帯を解く
   
 螺旋階段歳かさねつつ暮の秋 
                 《果豆》
 (2004.11.09)


 【初秋〜仲秋の投句】
 ちちろ市アルノの河岸の瀬音かな
 進み行く秋の花道献燈会
 武蔵野の秋天ここに御社
 天平にフラッシュバック石榴熟る
         
 無言にて大き通草の自爆せり
                   《果豆》
 (2004.10.21)


 【10月】
 鰯雲未だ知り得ぬ子の心
 
 外つ国に母独りなり野菊塚
 じゅげむ寿限無なさけかけたし下り鮎

 【9月】
 新涼や夜のうまいをほしいまま
 音ばかりはじけていづこ遠花火
 法話きくほとけ顔なる暮れの秋

            蓬莱子(ほうらいし)
 (2004.10.18)


 【8月の句】
 ほとばしる那智の神滝わが故郷
 蜩や熊野三山よみがえる
 聞きかえすこと多くなり蝉時雨

 【7月の句】
 ラッキョ噛むパリパリバリッと江戸育ち
 おしゃれして女三人焼酎談義
 軽鳧の子はモンローウォークビル谷間

     

 【6月の句】
 蝸牛(かたつむり)別れの言葉告げぬまま 
 木漏れ日に新樹きらめく天城越
 黒潮に跳ねて釣られて初鰹

             蓬莱子(ほうらいし)
 (2004.9.21)


 朝焼けやカーテンの帆に向かひ風
 回廊を修道士行く裾涼し
 いらくさの囲に紅を差す茗荷かな
 期限付きナショナリズムよ遠花火
 モンマルトル越えし夜皮ごと葡萄食む
         《果豆》
 (2004.9.9)


 雲梯の夏帽撫でるチャイムかな
 金の暈木立に預け梅雨の月
 高炉来て城壁果つや夾竹桃
 無限へと三度茅の輪をくぐりけり
 手水鉢湛へて深き雲の峰
               《果豆》
 (2004.7.20)
    

 ひつまぶし鰻を選り分けひまつぶし
 ベランダで咲いてるラベンダー 誰んだ〜
               新人S 
 (2004.6.17)


 闇恋し今宵国府の神輿渡御
 若葉風乗り継ぐ回転木馬かな
 ひれ伏して小迷宮なる鈴蘭群
 悲報来るアッピア街道松落葉
 尖がり帽正しつ脱ぐや竹の皮
               《果豆》
 (2004.5.31)
         

 古傷のうずきにて知る梅雨到来
 ドライアイ心の渇きを指摘され
 らっきょうの皮むきたるやエンドレス
               《鮎》 
 (2004.5.31)


 サンホセの火祭に消ゆ春の夢
 政変はるか初恋の地へ鳥帰る
 鐘よ鳴れフィレンツォーラの農具市
 花冷やデスクトップにボッティチェリ 
 父在れば尽きぬ事々啄木忌
              《果豆》 
 (2004.4.26.)