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第2話 アカペラで校歌独唱
ソ連の家庭は通常共働きである。両親は1ヶ月近く夏休みをとれるが、子供には3ヶ月も夏休みがある。両親が夏休みに入らない間、子供は祖父母の所へ行ったり、ラーゲリに行くことになる。
ラーゲリでは、1コースが約4週間、夏休みの間3コース開かれ、何度行っても良いことになっていた。ラーゲリのコースが終わりに近づくと、必ずお楽しみ会が開かれる。芸達者な子が歌を歌ったり、グループで劇をやったりする。
その日、私は、辞書で「歌う」という言葉を指さされ、日本の歌を歌えと舞台へ押し出された。集まった子供達をみて壇上で頭が真っ白になった。口から自然と出てきたのは、母校の小学校の校歌だった。
♪ 多摩の横山吹き渡る、風は緑よ、日はうらら〜
で始まり、最後は,
♪ ひがし、ひがし、ひがし、いくたしょうがっこう〜
三番まで全部歌った。後から思い出して、吹き出してしまう。何故、あのとき校歌が出てきたんだろう。毎週、朝礼のとき歌わされていたから、自動的に口から出たみたい。
今でも校歌の歌詞を全部覚えているし、歌えるけれど、他の人もそうなのかしら?
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