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第6話 西城秀樹シリーズ(その3)
モスクワから帰ってきて、十数年後、家の近くのホールでNHKのど自慢が行われ、ゲストにヒデキが来ることになった。一も二もなく応募し、見事入場権利を手に入れた。
当日勇んで見に行った。
のど自慢の本番ではゲストは一曲づつしか歌わないが、中継が終わった後、観客にサービスで他に2曲ずつ歌ってくれた。昔の歌だったけれど、歌詞も全部覚えていて一緒に口ずさんでいた。最後は嬉しくなって「ヒデキー!」と叫んでいる私がいた。隣にいた夫は他人の振り。
最後に希望者は花束をあげてもいいということだったが、誰もヒデキに花束をあげる人がいなかった。後から何度も花束のことを思いつかなかった自分を責めた。念願の握手をするチャンスだったのに。私しか花束をあげる人がいなかったら、印象強かったはずなのに。後の祭り。
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