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第１７話 黒パンと蜂蜜
ラーゲリでは、最初は食堂で出される物に閉口した。食べ慣れない物ばかりだった。黒パン、そばの粥、脂っこい献立。ラーゲリ参加前にもらった注意事項の中にお菓子など持たせないようにとあったので、その通り真面目にお菓子を持っていかなかったら、お腹がよくすいた。食事の時に出るパンは取り放題だったので、友人達のまねをしていくつかポケットに入れて食堂を出た。そのままでは食べにくいので、塩を振りかけたり、ニンニクをぬったりして食べている内に、癖のある黒パンが好きになった。今でもだれかロシアから来るときは黒パンを持ってきてくれとお願いする。少し酸味があって日本では手に入らない味である。
もう一つ、ロシアから人が来るときにお願いするのは、蜂蜜である。日本で売っている水飴が入っているような水っぽいものとは違う。味が濃厚で、ねっとりとしている。風邪を引いたとき、ロシアではお茶に蜂蜜を入れて飲む習慣がある。私も喉が痛くなると必ずロシアの蜂蜜を取り出して、レモンをしぼり、お湯で割って飲んでいる。
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