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つい並ぶクセがついちゃって
何を売ってるか知らないけど・・・・
第23話 行列
ソ連時代、行列を見つけると、みんな反射的に並んでいた。何を売っているかわからなくても、普段売っていない物が売られているはずだから、とりあえず小走りに走って列の最後につくのである。それくらい物がなかった。
ある日、私も真似して行列に並んでみた。30分ほど並んで手に入れた物は、大きな茶色い石けんだった。汚れは余り落ちそうにない代物で、母からは歓迎されなかった。
いつ何時、いい出物があるかわからないので、ロシア人は必ず折りたためる袋を持って外出した。網で出来ている袋をよく使っていたので、何が中に入っているか外から見える。珍しいものをさげていると、道行く人にどこで手に入れたのかと聞かれることもしばしばだった。
あるとき、ドライクリーニングに出すため、たくさん洋服を詰めた袋を抱えて歩いていたら、古着屋へ持っていくなら、譲ってくれと言われた。通りをぼーっと歩いていてはいけないらしい。
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