放課後は
さくら野貿易
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ラーゲリの歌声
       妹          弟           私・・・・

(母は子ども3人の資質を見抜いて各人にスケート靴を与えました)


 第25話 スケート

 冬は水をまけばたちまち凍るので、モスクワでは夏のサッカー場が、冬はホッケー場に早変わりした。私たち子供も冬はスケートを楽しんだ。母が日本でスケート靴を購入していた。妹にはフィギア用、弟にはスピードスケート用、何故か私のはホッケー用であった。それぞれ刃の形、長さ、厚さが違う。サッカーと同じで、ホッケーもモスクワでは男の子の遊びであり、専用靴をあてがわれたものの、残念ながらホッケーをしたことがない。いつも単調にスケート場を何周も飽きもせずグルグル回るだけだった。ゴーリキー公園へも時々滑りに行った。
 妹は小学校に通う年頃だったが、フィギアスケートを習っていた時期があった。練習から帰ってくると、習ってきたことのおさらいをする。いつも「ラーストチカ」(ロシア語でツバメ)のポーズをしていた。両手を広げ、胸を反らし、片足を後ろに高くあげるフィギアスケートおなじみのポーズだ。また、ぬいぐるみのウサギの両耳を右手で持ち、左手は横に伸ばし、ゆっくり回転することもあった。これはペアのスパイラルの真似だった。(うさぎは相方のつもり)


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