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ラーゲリの歌声

(このセリフ、マニアでないとわからないでしょうね)


 第26話 バレーボール

 バレーボールは、当時はやっていたテレビ漫画「アタックナンバーワン」に影響されて小学校の頃から始めた。毎朝6時くらいから練習し、練習を終えてから学校へ行っていた。中学一年生のときもバレーボールに熱中した。毎日ジャンプしていたせいか、一年で5センチも身長が伸びた。

 モスクワではバレーボールに助けられた。これが無かったら向こうでの生活に耐えられたかどうか自信がない。言葉はもちろん、授業内容はさっぱりわからず、本音を言える友達もなく、学校では居場所がなかった。進学校だったから勉強のできない生徒は本来入れないのだろう。外国人の特殊枠で入ってしまった私に先生達もお困りだったと思う。

 学校の最上階に室内体育ホールがあった。外で体育をすることもあったが、冬が長く寒いので、体育の時間はよくそのホールでバレーボールになった。そこで普通よりうまい私が注目された。そのときだけは自分の存在を確認できた気分になった。

 週一回、放課後、バレーボールをする仲間に入れてもらってから、自分が救われた気がした。


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