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第28話 ジーパン
「資本主義はよくない」、「アメリカはソ連の敵だ」などと言いながら、若者の間でジーパンは、あこがれの的だった。
学校へ行くとき、普通は制服(ワンピース)を着ていくが、何か行事があったりすると活動的な格好をしてこいと言われ、私はよくジーパンをはいていった。クラスメイト達もジーパンもどきのズボンをはいてくる。しかし色は似ているが、ソ連製とは材質が違う。やはり本場のジーパンが格好よく目に映ったみたいだ。
ある日、学校から帰るため、バスを待っていたら、女の人に「そのジーパンを譲ってくれないか」と言われた。今はいているのを脱げというのか、すごいなあ、と感心してしまった。もちろん断ったけれど。
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