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ラーゲリの歌声


 第36話 マロース(厳寒)

 ロシアの冬は長くて厳しい。
 モスクワにいた頃、1月が一番寒く、氷点下25度の日が続く。
 息を吸うと鼻の中が凍って、中の皮膚がくっつき、吐くと溶ける。
 マイナス25度の寒さのとき、天気はだいたい晴れ、雪が降るのはマイナス5度くらいまでの気温が多い。晴れているのに寒いというのが不思議だった。
 日が短い時期は、朝家を出る頃はまだ真っ暗で、学校から帰ってくる午後3時にはまた暗くなる。
 冬の中でもこの寒い時期をロシア人はマロース(厳寒)と呼ぶ。
 モスクワの友人は、このマロースが好きだと言う。
 悪いものが全て死に絶えるからと。


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