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さくら野貿易
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ラーゲリの歌声


 第42話 食糧援助のロシア

 ソ連が崩壊してロシアになったとき、ロシア社会は大混乱に陥った。食糧不足で国民が餓死するのではないかと世界各国が心配して、人道援助で色々なものが届けられた。その時期、友人宅へ遊びに行ったら、彼女の家にもドイツからの援助物資が段ボール箱で届けられていた。せっかく贈ってもらったのだから贅沢を言ってはいけないと思うけれど、と言いながら、乾燥マッシュポテトなんてまずくて食べられたものではない、マヨネーズもおいしくない、やはり食べ慣れた物でないとダメだわ、と言っていた。こんなまずいものをいつも食べてるドイツ人がかわいそうとも。
 あの年、誰かが餓死したという話は、結局聞かなかった。


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