第44話 首都サラダ
ソ連時代のレストランのサービスはひどいものだった。注文を取りに来るまでに一時間待たされ、料理が出てくるまでにまた一時間待たされる、と言われていた。社会主義時代、働いても働かなくても給料がもらえたから、客が呼んでも知らんぷり。出来るだけ働かないようにしていた人が多かったのだろう。
やっとメニューをもらい、注文したら、片っ端からそれは無いという。よく聞くとメニューの中であるのは二つだけとかいうこともあった。
しかし、モスクワなら必ずあるものもあった。直訳すれば「首都サラダ」。ゆでたじゃがいも、ハム、ゆで卵、グリーンピース、ピクルスなどの角切りがマヨネーズで和えてある。だからいつもこれを注文していた。なかなか食べ飽きない味だった。
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