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ラーゲリの歌声


 第51話 ロシアの香り

 匂いや香りが記憶を呼び覚ますことがある。
 ソ連では紙の質が悪いのか、本が独特のカビくさい匂いがする。私などはその匂いをかぐと、たちまちロシアを思い出し、なつかしさを感じる。
 今はアエロフロートも機種がエアバスになったが、ソ連国産の飛行機だった頃は、成田で機内に入った途端、独特のロシアの臭いがして、気分はロシアだった。JALに乗ったときはモスクワに着くまで日本気分だった。もちろん香りだけでなくサービスが大きく違うのは言うまでもないが。


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