現代徒然草(1)アケビ



 子供にとってアケビは貴重なものだ。
 カブトムシやクワガタとは別の値うちがある。  山の果実の女王といったおもむきがある。
 アケビのつるは日の当たる高い梢の先で花を咲かせ、実をつける。
 見つけても取れない場合が多い。あきらめる。
 今でも、熟したアケビの実をじっと見ていたいなと思うことがある。
 実を取ることが出来れば、甘い果肉は子供にやる。
 大人の仕事はここからだという話を最近聞いた。
 苦い内皮をていねいにとり去り、よく洗う。
 そして、きんぴらにしてしまう。にんじんを入れたり、グリーンピースをちらしたりするのはやめてほしい。アケビだけのきんぴらを切に望む。
 うるさく言うのだから酒はどんなものでもいい。1本のまま出してほしい。切に。
武兵衛
2003.02.20.

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