現代徒然草(7)




 鍾乳洞

 鍾乳洞の入口に立って、すなわち秋芳洞の入口に立って、私は流れ出て
来る水量におどろいていた。
 おどろくことの少ない私であった。
 秋芳洞の内部について知っていただきたい。
 このすき間を三度回ると幸せになる、恋が成就する、という表示があった。
そのすき間を私は三度回った。
 ゆるされよ。
 地上に出たところは、人気のない駐車場だった。目の前の斜面を、道なき
道を、なぜこんなことをと思いながら登っていくと、展望台についた。世の中
に合流したのだと思った。
 それから私は秋吉台を縦断することになる。
 すべてを省略する。ゆるされよ。
 私の数少ない旅の記憶である。

 2003.4.28.
 武兵衛

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