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上床 和則



第16話 コモロ通信 その7

 前回は、キハダマグロの刺身を紹介させていただいた。
 あれから毎週末に、コモロ産水産物の刺身を試食する機会を設けている。その間に食器も新たに購入し、非常に見栄えが良くなった。この陶器製の器、蓋付きで、小型冷蔵庫の中にもスッポリと収まり、なかなか重宝している。
 さて、第2回目の試食会の対象は、カツオである。2kg以上の1本丸ごとを仕入れ、大胆に厚切りにして、皿に盛り、ニンニク、生姜、タマネギを上にのっけて醤油をぶっかけた。ただ、ここの生姜はやたらに粒が小さく、皮を厚めにそぐと、身が残らない。また、ニンニクも全体が小振りの上、やたらに小さく分かれている のでこちらも相当の労力を要する。この二つの作業で相当な精神修行となった。カツオにあぶらはそんなにのっていないが、さっぱりとしたうま味がある。生姜とニンニクの量のバランスも良く、なかなかの食い応えであった。
 第3回目は、日本人の同僚がシュノーケリングの際に、素手でタコを捕まえてきたのでこれをメインとする。塩でもんでヌメリをとり、軽くボイルして冷凍しておいた。
 当日の解凍中、白身魚を入手すべくミロンツィの水揚浜にでかけるものの、ここでは白身魚は水揚げされていない。白身魚を調達する場合には、少々遠いが他の水揚浜にも足を延ばさなくてはならないようだ。しかたないので、小型のサヨリを購入しようとすると名物おばちゃんが出てきた。ここミロンツィは男性が魚を捕って、男性が小売りするのが一般的である。
 その中で、どうどうと一人のおばちゃんが小売りで幅をきかしている。したがって、愛想がいい代わりに押しも相当強い。あやうく大量のサヨリを買わされそうになった。
 日本からは、出刃包丁も刺身包丁も持ってきておらず、ここで現地
調達したナイフのみである。小型のサヨリをさばくのに、現地ナイフを片手に悪戦苦闘した。
 刺身のつまは、近くで仕入れられるもので済ますしかない。ほぼ、ニンジンとタマネギが恒例になってきているが、結構味があって食してくださる皆さんに好評である。
 そのうち、イセエビ、タイなどにも挑戦してみたいと思っている。ところで、タコを捕ってきた御仁はというと、この日はワインの飲み量も多く、至極満悦の時をすごしていらっしゃった。

  




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