放課後は
さくら野貿易
放課後のページ
僻地特派員の報告
上床 和則



第20話 コモロ通信 その11

 以前、ホテルの朝食に、果物が並ぶ話をさせていただいた。ここのところ運動不足で、胃腸の調子が狂ってきた。そこでちょっと胃腸を休めようと考えた。
 朝方、学校の裏山に生る天然のパパイヤを持ち主に頼んで採っても
らい、夕方自室に持って帰った。果物も魚も、もぎ立て、捕り立てより、若干熟成させた方が旨い。
 写真のパパイヤの全長約20センチメートル。こんな量を一気に食べるのは初めてだ。このほか、バナナもそこら中に生っておりすぐ手に入る。
 ココの実は写真のように、もぎたての若い実をナタで穴を開けて、 ジュース(液状胚乳)をがぶりと飲む。ココの実は年を取ってくると脂肪分(胚乳)が殻の方に凝固してくる。これが椰子油で、乾燥させた物を「コプラ」といい、食用油や洗剤などに姿を変える。
 もちろん、若いココの実の凝固しかけの胚乳部分はトロッとしておりそのまま削り取って食べることもできる。したがって、胚乳として固まる前のジュースは若い実でないと旨く ないようだ。
 このココの天然ジュースは人間の体液の浸透圧と同じと言われてお り、リンゲル液など点滴の代用品にした頃もあったと聞く。昔の航海時代はココを大量に帆船に積み込んで、船内の患者の治療に用いられたことであろう。
 ここは南半球故、春は9月頃にやってくる。マンゴの季節だ。今から楽しみである。
 ところで、お隣のマダガスカルでは、日本でおなじみの柿が生るらしい。因みにフランス語でも「KAKI」である。


   




[ 掲載一覧 ]