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上床 和則



第28話 コモロ通信 その19

 日曜日に結婚式に招待された。コモロ国は、出稼ぎ者からの送金で経済が成り立っていることは以前紹介させていただいた。出稼ぎ先として多くを占めるヨーロッパは7月からバカンスが始まる。したがって、バカンス期間中は仕事がなくなることから出稼ぎ労働者が帰ってくる。このため、家族・親族が集まりやすいこの時期に結婚式が催される
ようになり、いつのまにか定着してしまった。
 島の首府ムツァムッドは街に空き地が少ないので、幹線道路を除き道を封鎖した形でテントが張られ宴が始まる。その場合、車輌は必然的に迂回路を走らなければならない。披露宴が集中するこの時期は毎夕、毎夜繰り広げられる。大音響でのお祈り、祝いの歌、踊りなどなど・・・
 ヨーロッパにはもう一つクリスマス休暇なるものがある。したがって、12月も結婚ラッシュだそうだ。7月前後、12月前後の生年月日の子供がやたら多いのもうなずける。

 新郎新婦の披露宴は、新郎に対しては男性だけの披露宴が催される。新郎方の披露宴は今回は夕方4時頃からから始まった。地方の村なので道路ではなく集会広場を利用するのだが、テントを張りやすいよう予め鉄柱が周囲に埋め込まれている。
 非常に回教の宗教色が濃いのと、やはり政治家等の有力者が招かれる。今回は、もう皆さんお馴染みの知事の出席だ。2時間ほどコーランと説教を聞いて終わった。その後お菓子袋が出席者と子供達に配られるのはどこか日本に似ている。
 夕食をごちそうになった後、新郎新婦の新居の訪問が待っていた。写真のように新郎新婦が並んで座って皆さんにベッドルームを公開するのである。なんかこちらが恥ずかしくなってきたので、そそくさと抜け出してきた。
 今宵、新婦のための披露宴が女性だけで催されるようである。申し上げておくが、宴ではアルコール類は一切ない。夜部屋一杯やりながら、ニューヨークで同性愛者の婚姻がなされた ニュースを複雑な心境で見ていた。

  





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