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第30話 コモロ通信 その21

 ここアンジュアンの首府ムツァムドゥで、「MEDINA FESTIVAL」なる音楽祭が、7月22日(金)に催された。これは毎年この時期に催される音楽祭で、内外の音楽家が集結し、朝方近くまで催される。この催しは若者にとっての楽しみの一つだけれど、平日に設定されるのが解せない。
 夜8時頃から始まるというので、少々早めに夕食を済ませ、その時刻の前には会場に徒歩で着いた。しかし、会場設営と音あわせでまだ始まる様子はない。会場の近くはというと、縁日の屋台のように出店が並ぶ。サイコロの出目を当てるギャンブル台が数カ所設けられ、若者は賭に熱が入っている。1から6までの数字のどれかに単純に金をかけて、当たれば元手を含めて3倍になって戻ってくる仕組みだ。賭ける側は、当然弱そうなディーラーを選ぶため、人だかりに差ができる。ディーラーもいかに弱そうに見せるか、どのようなタイミングで負けてあげるか、腕の見せ所であろう。
 飲食を扱う出店では、肉や魚の炭火で焼ける香りが漂い、簡易のイスに腰掛けて兄ちゃん達が旨そうに口に運ぶ。本当に見ていてうまそうだし、香りはいいしなのだが、いかんせんアルコールがない。したがって、会場から近い「島のカウンター」なる店でしばらく飲むこととした。
 ここは、以前紹介させていただいたが宿屋も兼ねている。特に、欧州のバックパッカーには好評のようだ。今宵は若いフランス人客が10人ばかり先に飲んでいて、やけにうるさい。
 30分ほどジントニックを飲んで、会場に行くと、入場規制が厳しい。昨年は1000コモロフラン(約2ユーロ)だったのが、今年はその倍の2000コモロフランだ。それで、文句を言う輩が多いのであろう。2000コモロフランを受付で払うと、紙製のリストバンドを巻いてくれる。この辺りは最新のシステムが取り入れられている。後談だが、紙製なのにはがすのに苦労したので、このリストバンド、セキュリティにはなっていた。
 さて、肝心の音楽祭だが音あわせが長すぎる。トリを見てみたい興味はあるのだが、明日は仕事だし、10時には切り上げた。会場で会った友人に翌日聞いたところでは、朝まで会場は満員盛況だったそうである。
 因みにここアンジュアンでも音楽CDは購入できる。コモロ諸島の4島(マイヨット、アンジュアン、モヘリ、コモロ)のイメージを交響曲にしたCDを見つけたので、紹介しておこう。でも、交響曲というジャンル?

  





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