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上床 和則

 


第34話 コモロ通信 その25

 ここアンジュアン島の車事情はというと、多くはドバイ経由船積み で新車が入ってくる。資金さえあれば、アメリカ車、ヨーロッパ車や日本車を新車で購入できる。ただ、最近の新車市場には韓国車が増えてきたように思う。
 さて、一方の中古車市場はというと、中古車がこの島の車輌台数の 圧倒的多数を占めている状況にある。そして、何と言っても日本車が多い。これは、我が国の排ガス規制等に適合しなくなった車輌の余生のすごし先といっても過言ではないであろう。
 したがって、この国では車輌は右側通行の道路交通法があるにもか かわらず、圧倒的に右ハンドル車となる。一見問題なさそうだが、路上駐停車が多いこの国では、対向車線にはみ出す場合の目視確認が右ハンドルではしづらい。
 このような状況から、左ハンドル車の運転手を雇う場合には、事前 に念入りにその運転手の運転経験を調べなければならない。現在我々が使用しているのはレンタカー(運転手付き)で、もちろん中古の日本車である。この運転手はなかなか機転が利くので、このまま継続して雇用しようかと思っている。
 もうすぐ各漁村で実施する訓練に用いる機材の運搬にも使用する車輌がやってくる。ところがこれが左ハンドル車らしい。この運ちゃん、とっさの時に左右逆の位置にあるギアに対応できるのか、彼のテクニックについて思案しているところである。
 中古車体に描かれた日本の工業所名や建築会社名の漢字表記は、こ の国の人たちにとってなかなかデザイン的に好評なようだ。島の至る所で、熊谷、名古屋、静岡などの地名が入った車輌を見る ことができるのだが、いざ写真に納めようとすると、これがなかなかやってこない。
 もし、私が日本の中古車を購入するとすれば、○○消防署とか、○○市役所といった旧公用車がいい。きっと維持管理は十分に行ってきているはずなので、エンジン等の整備状態もよいはずだ。
 写真の車輌は平田市(現在は島根県の出雲市)からアンジュアンに やってきた。
 



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