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第42話 コモロ通信 その33

 ここコモロ国では、9月から学校の新学期が始まり、翌年の6月末に終了式を迎える。ついこの前の6月30日(土)に終業式を終えた子供達は、約3か月の休み(バカンス)に入る。ただ、上級学校を目指す子供達は、勉強に余念がないのはどこも同じである。
さて、月の開けた7月1日(日)は、PTAが企画し、地域の小学生達をピクニンックに連れ出すのが習わしである。ここミロンツィ地区では、小生の勤務先である水産学校がピクニック会場となった。地域と共存する学校を目指す本校にとってはいいことである。
さて、そんな企画が進んでいるとは知らない小生は、休日は誰にも邪魔されずに仕事に没頭できると休日出勤した。ところがどっこい、朝8時に行くと小学生がわんさかいる。見慣れぬ東洋人が珍しいので、「ボンジュール」とワイワイ声をかけられて、何だか逃げ出したい雰囲気である。正午近くになっても仕事が終わらないので、夕方までこのまま頑張ろうと覚悟を決めて執務室に閉じこもっていると、午後2時頃PTAのおばちゃんがやってきた。「ムッシュ、これを食べなさい。」差し出されたどんぶりには、キャッサバ、バナナ、牛肉などの煮込みがたっぷりである。涙が出るほど嬉しくなって、おばちゃんに頬擦りしようかと思って、おばちゃんの白い日焼け止めを一面に塗りたくった顔を見直して、結局やめた。
この時間帯から、業者に頼んで持ち込んだスピーカーが大音量で鳴り始める。こんなポップ音楽は小学生向きではないだろうと、食器の返却ついで集団に向かっていくと、やはりダンスキッズはいるんだと納得した。日本の子供達もダンス流行であるが、ちょっと技術的レベルは違うものの、見ていると面白い。流石に高学年の女の子の方が、男の子に比べてリズム感覚抜群である。
カメラを向ければよかったと反省しきりである。




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