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第9話 チュニジア通信 その9

さて、話は変わる。チュニジアという国はどこか日本と似ている。というのも天然鉱物資源がほとんどない。隣国のリビア、アルジェリアは産油大国で天然ガスも量産しているが、なぜか、ここだけ埋蔵量が少ないのである。そこで現在は原料を輸入加工して付加価値製品を輸出する工業化をどんどん進めており、欧州からの投資を促進させる対策もとっている。日本にも投資を呼びかけ続けているが、残念ながら遠距離であること、なじみが薄いことなどから日本からはほとんど投資には至っていない。やはり、ターゲットは中国かベトナムであろうか。
さて、この国の農業面ではなんと言ってもオリーブであり、チュニジア産は欧州にも広く出回っている。ここでは、地平線まで広がるオリーブ畑の一帯があり、オリーブの漬け物とオリーブオイルは、滞在中は毎日必ず口にすることとなる。その他小麦をはじめとして通常の野菜、果物には困らないが、大根がないのは少々残念。そして有名なのは、ラマダン期間の日没後の手始めの食べ物としてかかせない、干しナツメヤシ(Date)である。因みに、ラマダン期間中の日中は断食をするため、日没後の急激な飲食は身体に良くない。したがって、空腹時の胃に優しいナツメヤシが好まれるが、日本の干し柿をイメージしていただければわかりやすいのではないだろうか。日本人の間では、お茶のお供にも好評なようだ。
 肉はなんといってもここの皆さんは羊が好きである。小生は炭火であぶった物が香ばしくて好物であるが、一般家庭では汁物の具材にすることも多い。ところが、皆さん最近は高いとぼやいている。これも牧草地の減少によるのであろうか。
 魚はこれよりも価格的に高いイメージで、鯛などの高級魚を市場で買う一般人は見かけない。一方で、高級レストランで結構現地の人も魚を食べているのを見かけることから推測して、裕福層は結構いるのであろう。
           
            最近出回っている
          チュニジア産プロセスチーズ(8P)

 

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