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いわし雲
                           鈴木 敬一



第23話 「聴きたい講演

 私達が通常接する講演会の演題は、概して景気動向とか政局の行方とか、スポーツ関連などが大半である。聴けばそれなりに興味が喚起され、メモをとったり、「なるほど、そうか」と啓発された気持ちにもなるが、時がたつにつれ、ほとんどは忘れてしまう。講師はひとかどの専門家や評論家であり、講演料は一体どの位だろか、などという低次元なことを考えたりもする。
 聴衆の要望を集約すれば、やはりおのずと一般的な無難な経済や世相の話題に帰着するのであろうが、結果的にはインパクトが脳裏に深く刻みこまれるような話にはあまりめぐり合えない。
 過日、筆者が統(す)べている組織で講演会を催すことになり、事務局が筆者にそのテーマにつき相談に来た。この組織はコンピュータ関連のものであるが、筆者は即座に「宇宙、その構成と成りたち」もしくは「来世、死後の世界」のどちらかにするよう強く指示した。この二つは筆者が長い間、常に不思議に思い、頭の中をもやもやさまよい、もっと詳しく知りたいと願っているテーマである。やさしく、質疑応答を含めて、小・中学生に解説するように話してもらいたいというのが本意。
 ところが、この講演会は実現しそうもない。しかるべき講師が見つからないらしいが、誠に残念である。誰か、この二つのテーマをやさしく、かみくだいて解説してくれる人がいないであろうか。薄謝贈呈。

(本稿は『日刊食料新聞』 2010年1月22日に掲載されたものです)
   


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