さくら野歌壇-2002年-

真面目、冗談、何でもござれ。投稿歓迎!

2001年


 夜もすがら
  何事をかは思ひつる
   窓うつ雨の音を聞きつつ

 この歌、歌謡曲みたいですね。意味は、
「一晩中、眠ることもできず、窓をたたく雨の
音を聞きながら、私が何を思っていたか
知ってる? あなたのことばかりよ」

 「窓うつ雨の音を聞きつつ」という表現から
は、窓ガラスに雨が当たる音を連想しますが、
歌の作者は、千年前の歌人、和泉式部です。
当時、ガラス窓はありませんでした。でも、
現代人が鑑賞するときは、ガラスを連想しても
かまわない。窓の材質が変化しても、恋する
人の心は変わらないのですから。この歌は、
恋の予感に苦しむ和泉式部が、禁断の恋に
踏み込むときの、まさにその瞬間の心情を
歌ったものです。

 (2002.10.01.)
        

 (甲子園に寄せて)

 鮮やかに咲いて弾けて舞い散りぬ
  青春燃やし咲く夢花火

 (2002.8.23. 投稿)    


 夏の野の           
  茂みに咲ける姫百合の
   知らえぬ恋は苦しきものそ

 旧暦では本日でもって夏が終わります。
夏の締めくくりは、やはりこの歌。万葉歌人・
坂上郎女、恋の絶唱であります。
 でも、この歌、耳で聞いたら「夏ののの」、
妙な響きになりますな。
 そこで小生も、立秋にちなんだ句をひとつ。

 なつののの すもももももも しゅうききき

(「秋気聞き」と読んでくださいね。2002.8.08. 社長)


 陽射し浴び
  鈍行のどかに揺れ走る
   すべてが謡う 眠れよい子よ

 (2002.8.04. 投稿)

 (良い歌ですね。−編集長−)


 (W杯決勝戦)

 またトドメ ああ大五郎 刺客ぞな


 夢破れ ポストにもたれ空を見る
   涙よりなお心打たれて


 カーンさま ポストにもたれる姿さえ
   ステキ!  私もポストになりたい

 (2002.7.01. 投稿) 


 (決戦前夜)
 「カーン対トリプルR一騎打ち」
   え、一騎打ち? 3対1じゃん…

 最高の防御と最高の攻撃と
  「矛盾」という名の故事を思いて
               
 (三位決定戦)
 センサーに遅まきながら新反応 
   美形発見トルコのイルハン

 (2002.6.29. 投稿)


 半島に二人の首領並び立つ
  北は金書記 南はヒディング

 (2002.6.27. 投稿)


 トッティのお尻か カーンのモミアゲか
  どちらに触るか日々大論争

 (2002.6.27. 投稿)


 (準決勝、ともに1:0で決着)
 攻めに攻め無数にシュート打ちつつも
  入るは一度 一点の重み

  (2002.6.26. 投稿)
               

(イラストは厳選いたしました。−編集長−)


 ぜひ見たかった夢の対決パート1

 (イタリア対イングランド)
 うるわしの王子対決 夢競演
  乙女心は揺れに揺れつつ

 (2002.6.24. 投稿)


 ★W杯の歌、続々登場!

 (アフリカの新星)
 アフリカに新たな歴史の幕が開く
  ダークホースの仰天金星

 強豪も古豪も王者も何のその
  黒い旋風セネガルよ行け

 セネガルの夢は果つとも
  アフリカに灯した希望 遙か未来へ


 (強いトルコ)
 フィールドに 響くはトルコ行進曲
  勇名高きオスマンの裔


 (選手に罪はないけれど)
 深まりゆく誤審の疑問 またファウル?
  またノーゴール? また韓国か


 (世界は広い)
 目標は「予選突破」か「優勝」か
  視線の違いに世界を実感


 (W杯世相)
 世につられ にわかサポーター続出中
  思いは一つ「オフサイドって何?」

 (2002.6.23. 投稿)


 (韓国がんばれ、トルコ負けるな!−編集長−)


 (カナリア、心の叫び)
 色男 目に焼き付けろオレたちを
  華はなくとも実力で勝つ

 しかと見よ これが実力これが技
  戦士の華はただ勝利のみ


 (イングランド旋風)
 色男 金も力もありにけり

 フィールドの貴公子 カナリアの前に落つ


 (ゲルマンの守護神)
 伝統と誇りと威信を背で守る
  黄金(きん)の両腕ドイツの至宝


 (アイルランド讃歌)
 不屈なる緑の戦士 力尽き
  無敵艦隊の前に沈みつ


 (韓国躍進)
 覚醒の時だアジアの虎よ行け
  変えろ歴史を 生み出せ伝統

 韓国の12番目の選手たち
  ああサポーター? いえ審判です


 (イタリアの王子さま)
 アズーリは どれもよく似たソース顔
  トッティどっち? え、ピエロ出る?


 (北の強豪)
 哀れなり 白い巨人も北欧も
  高温多湿の異土に散りゆく


 (無念の敗退)
 数センチ数ミリが分かつ明と暗
  その差が世界か 一流の壁


 (列島熱狂)
 勝敗を決めるは顔か 女性ファン


 (2002.6.21. すべて投稿)

 (たくさんの作品を投稿いただき、ありがとうございました。
−編集長−)



 春過ぎて夏来にけらし
  灼熱の地獄の釜の恐怖再び

 (2002.6.03. 投稿)
               

 貼りすぎて夏気になるらし
  白妙の衣ホステス、
    アロマ香ぐ香具師(やし)

 (投稿、ありがとうございました。これに刺激され、私も一首。
まだ、六月に入ったばかりですが、真夏のような陽気ですね。
どうぞご自愛下さい。 −編集長−)



 【ベツレヘムの星三連作】

 宵闇にベツレヘムの星輝かん
        誘え我らを遙か歴史へ

 時を越え数奇な運命(さだめ)の人々の
        導きの星今ぞ煌めく

 導きの星よ再び導けよ
        平和という名の尊きメシア

 (2002.05.20. 投稿)

         


 忍ぶれど
  音に出でにけりわが飢えは
   ものや食うかと人の問うまで

 (2002.4.17. 投稿)

 (この飽食の日本に、飲まず食わずの人がいらっしゃると
は・・・。いや、これはダイエット中の主婦の言葉か?編集長)

   
 忍ぶれど
  音に出でにけりわが肥えは
   さらに食うかと人の問うまで


 サクラサク 明治は遠くなりにけり

 姉の勧めも期待も蹴散らして、明治大学を
断って田舎の大学へ行ってしまった弟の浅慮
嘆く。(作者の詞書)


 (2002.4.04. 投稿)
             
 (作者は、前回投稿された「冷酷家族」の方です。 きっと
受験生のお姉さんですね。)



 いざ来たり
  受験本番三日前
   禁句連発 冷酷家族

 (2002.3.25. 投稿)
          
(試験前に、腐りかけた「やまかけそば」を食べた人が
いました。やまかけで当たる・・・なんてことになるわけで
す。−編集長−)


 おごるよと
  ひとこと互いに言い出せず
   我も金欠 君も金欠

 (2002.3.10. 投稿)

 (ありがたいですねえ。久々の投稿です。二人は結局、
割り勘にしたのですね。食べたのはラーメンというところで
しょうか。−編集長−)

         


 きみがため
  春の野にいでてわかなつむ
    我が衣手に雪はふりつつ

 今日は旧暦正月。古人の春は今日から
始まります。光孝天皇のこの御製、季節は
ちょうど今ごろ。春の野、若菜、雪。この
季節感は旧暦に身を寄せると実感でき
ます。
 (2002.2.12.社長)

 新解釈:最初の五文字をどう解すかがポイントです。従来、
「あなたのために」という意味だけで終わってきましたが、
これには掛詞が潜んでおり、「あなたのために」のほかに、
「キミ固め」すなわち、「あなたの(便が)固めだから」という
ように、便秘気味の相手を深くいたわる作者の心配りまで
読み解かねばなりません。こうなりますと、「わかな」という
のは、繊維分であり、お通じを促すために摘んでいるのだな
ということが分かってきます。愛しい人がすっきりした顔をし
て喜んでいるところを想像しながら若菜を摘む作者の衣に
積もる春の雪は、きらきらと明るい光で満ちています。
 −編集長−