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さくら野俳壇-2009- |
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* 風の子は絶え風邪の子の世なりけり |
* 秋の雷得て山間でロックンロール * 天高し欅の洞に蹴つまずき * 晩鐘と共に下り来し柿の坂 * 今生はちらつとオリオン流星群 * 屈強の荊棘濃緑に柚子熟るる * 節目佳き齢踏み出す暮の秋 * ひよいひよいと木の実拾へる短躯かな 《果豆》 (2009.11.24) |
夏〜初秋句 * 脳みそを洗浄したき曝書かな * それぞれに父の遺筆や夏帽子 * 手は腰に栄養ドリンク夕焼くる * 花木槿ことしもキリン待ちました * 山背負ふ廃家三軒ほととぎす * 気の早い蜩貫通耳朶その他 * 届かざる距離にメタボと天の川 《果豆》 (2009.9.25) |
* 夏至の夜のスペイン階段既視回生 * 人工衛星産み落としたる梅雨の月 * 尺蠖や血管はしやぐ吾が腕 * 汗五ガロンマイケル・ジャクソン駆け抜けて うすもの * 変容図のごと羅のそよぎけり (ヴァチカンのラファエロ?) * 魚の目も外反母趾も裸足の子 * 青嶺の懐ふかく労働す 《果豆》 (2009.7.7) |
* 白牡丹留守番役が君臨す * 緑濃く草餅こぬる掌真っ赤っか * 庭に来てひねもす老鶯雨宿り * 万緑になびく茶髪や大工の娘 * 生きて老い老いを生きよと若楓 * 後ろより薫風が引くショートヘア * 泰山木咲いてローマを引き寄せり 《果豆》 (2009.6.04.) |
* 初電車新型ウィルスはただ乗りす * 大寒やファーストレディーの裾捌き * 赤い実のまろびまろびて1月尽 * 柊挿す浅間の灰を一つまみ * いくたびも磨く鏡よ春立ちぬ 《果豆》 (2009.2.9.) |
* 孔子出づ磨ぎ汁育ちの花アロエ * 母と住むは足し算掛け算日向ぼこ * 鵙啼いて昭和と同じ枯れ木かな * 冬銀河ガリレオの鬚ゆたかなり * 牛鍋やいよよ三感活気づく 《果豆》 (2009.1.16.) |